「転勤するなら、もう辞めます」——共働き時代の転勤問題が深刻化
ある日突然、上司から「来月から〇〇支店に転勤してもらいたい」と告げられる——。
転勤族の方なら、何度経験しても心臓がドキッとするあの瞬間を覚えていると思います。でも今、この「転勤の辞令」をめぐる状況が、かつてとはまったく違う深刻さを帯びてきています。
エン・ジャパンが2024年に実施した調査(1,039名対象)によれば、約69%の人が「転勤の辞令は退職を検討するきっかけになる」と答えています。しかも20代では78%、30代では75%という高い割合。若い世代ほど、転勤に強い抵抗感を持っているのです。
さらに、パーソル総合研究所の調査では、就活生・社会人の約半数が「転勤のある会社への応募・入社を回避する」と回答。転勤制度が人材確保そのものを脅かしている実態が浮き彫りになっています。
「昔は家族を連れて引っ越すのが当たり前だった」という時代は、もう終わりを告げようとしています。では、なぜここまで転勤への抵抗感が高まっているのでしょうか?その答えは、「共働き」という日本社会の大きな変化にあります。
共働き家庭が転勤で直面する5つのリアルな壁

かつての転勤は「夫が転勤して、専業主婦の妻と子どもがついていく」というモデルが主流でした。しかし今や共働き世帯は全体の7割を超え、夫婦どちらもキャリアを持つのが当たり前になっています。そんな時代に転勤の辞令が下りると、家族はいくつもの「壁」にぶつかります。
壁1:パートナーの仕事を犠牲にしなければならない
転勤を拒否する理由として最も多いのが、「配偶者の転居が難しい」(40%)という理由です。夫(または妻)が正社員として働いていれば、もう一方の転勤に無条件についていくわけにはいきません。
「せっかくここまでキャリアを積んできたのに、また一から出直しですか?」という配偶者の言葉に、何も返せなかったという転勤族の方も多いはずです。転勤は、二人のキャリアを同時に揺るがす問題なのです。
壁2:子どもの保育園・学校の転校問題
「子育てがしづらい」という理由も29%と高い割合を占めています。特に深刻なのが保育園問題。転勤先の自治体に引っ越しても、認可保育園への入園は「待機児童問題」があって簡単ではありません。
実際に「夫の転勤についていったら、保育園に入れず仕事を辞めざるを得なかった」という話は、転勤族の間でよく聞きます。小学校・中学校への転校も、子どもの心理的負担は決して小さくありません。
壁3:引越しのたびにかかる多大なコスト
転勤に伴う引越し費用は決して安くありません。家族構成によっては50万円を超えることも珍しくなく、会社の補助だけでは賄いきれないケースも多々あります。単身赴任を選んだ場合も、二重生活の費用(単身赴任先の家賃・光熱費・食費など)が毎月かさみます。
引越し費用は複数社から相見積もりを取るだけで、数万円単位の差が出ることがよくあります。
壁4:持ち家があるとさらに複雑な事情が
転勤を拒否する理由の2位は「持ち家がある」(34%)です。せっかく念願のマイホームを購入したのに、転勤の辞令が……という悲劇は転勤族の間ではよくある話。「売るべきか」「賃貸に出すべきか」「単身赴任にすべきか」と、判断が難しい問題が山積みになります。
転勤先で新たに物件を探す際も、短期間で住める物件、ペット可の物件、駅近の物件など、さまざまな条件を短期間で検討しなければなりません。
壁5:転勤が「結婚のハードル」になっている現実
東京商工会議所の調査では、独身男性の20%が「転勤は結婚のハードルになる」と感じており、年収700万円以上の男性に限ると27.1%にまで上昇します。転勤制度は、もはや個人のキャリアや家族関係だけでなく、少子化問題にまでつながっているのです。

子どもが友達からもらった手紙をそっとしまうとき、こっちの方が泣きそうになるんだよなあ。子どもって本当に強い。ありがとうって言えてるかな、って何度も考えた。
共働き転勤族が実践している「乗り越え方」

これだけ多くの壁があっても、多くの共働き転勤族がなんとか生活を続けています。実際にどんな工夫をしているのでしょうか?
① 事前に「転勤ルール」を夫婦で決めておく
転勤の辞令が出てから慌てて話し合うのではなく、「転勤になったらどうするか」を事前に夫婦で決めておくことが大切です。「子どもが小学校に上がるまでは家族帯同」「単身赴任は最長2年まで」など、二人だけのルールを設けておくと、いざというときに感情的にならずに話し合えます。
② パートナーのキャリアを守るための会社交渉
最近は「転勤を断る」「配偶者の仕事の事情を考慮してもらう」という選択肢を選ぶ人も増えています。会社によっては「転勤拒否可能な職種への異動」を相談できるケースも。一方的に諦めるのではなく、まずは上司や人事部門に事情を正直に話してみることが重要です。
③ 単身赴任中の生活コストを徹底的に下げる
単身赴任を選んだ場合、月々の生活費をできるだけ圧縮することが家族全体の家計を守ることにつながります。自炊の習慣をつくる、格安SIMに切り替える、定期的な帰省は早割を活用するなど、小さな工夫の積み重ねが大きな差になります。
また、転勤前に荷物を整理して、単身赴任先には必要最低限のものだけ持っていくのも賢い方法です。荷物を減らすことで引越し費用も下がり、トランクルームを活用して自宅の荷物を一時保管するという選択肢もあります。
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④ 転勤先でも「働ける環境」を整える
配偶者が転勤先で再就職する場合は、転職エージェントへの登録やハローワークの利用を早めに始めましょう。最近はリモートワークが普及しているので、現職を続けながら転居できるケースも増えています。現職の会社に「リモートワーク勤務への変更」を相談してみる価値は十分にあります。
⑤ 転勤先の地域コミュニティに早めに溶け込む
転勤族が孤立しがちな一番の原因は、「どうせまた引っ越すから」と腰を据えて人間関係を作ろうとしないことです。でも実は、転勤族同士のコミュニティや子育てサークルに参加することで、同じ境遇の仲間と助け合えることも多いです。転勤先の土地を「一時的な仮住まい」ではなく「今の自分のホームタウン」と思って積極的に関わってみましょう。

引越し前夜、ガスも止まっててご飯作れなくて、段ボールに囲まれながらコンビニ弁当食べたの、今となってはいい思い出だよね笑 あの日の家族写真、ずっと残しておきたい。
企業側も変わり始めている——転勤制度の見直しの波

実は今、企業側にも大きな変化が起きています。
パーソル総合研究所の調査では、転勤を拒否する理由として「金銭的手当」があれば受け入れるという人も多い一方で、基本給の30%以上の手当があっても4割弱が「転勤を受け入れない」という結果が出ています。企業はもはや「お金を積めば転勤させられる」という時代が終わったことに気づき始めています。
大手企業を中心に、転勤制度の廃止・見直しを発表する企業も出てきました。「転勤なし正社員」という採用枠を設ける会社も増えており、働き方の多様化が進んでいます。
もし今の会社の転勤制度に限界を感じているなら、転職を視野に入れることも一つの選択肢です。転職市場では「転勤なし」を条件に優良企業を探せる環境が整っています。
まとめ——転勤は「乗り越えるもの」から「選ぶもの」へ
かつて転勤は「会社の命令だから仕方ない」と受け入れるものでした。でも今は違います。約7割の人が「転勤なら退職も考える」と答えるこの時代、転勤は「耐えるもの」から「戦略的に対処するもの」へと変わっています。
共働き転勤族の皆さんには、まず夫婦でしっかりと話し合い、お互いのキャリアと家族の幸せを最優先に考えた選択をしてほしいと思います。引越しのコスト、物件探し、荷物の管理——そういった具体的な課題一つひとつに、今は便利なサービスが整っています。
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