「転勤が決まったけど、住宅ローンが残っている持ち家はどうすればいいの…?」突然の辞令に頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。実は最近、Yahoo!ニュース(ファイナンシャルフィールド)でも「住宅ローン返済中に転勤が決まり、持ち家が空き家になる場合、勝手に賃貸に出してもいいのか」という相談が取り上げられ、注目を集めています。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は約900万戸・空き家率13.8%と過去最高。その一因が、まさに転勤や相続で「住まなくなった持ち家」なのです。
結論から言うと、住宅ローンが残っている持ち家を金融機関に無断で賃貸に出したり、空き家のまま放置したりすると、契約違反とみなされてローン残債の一括返済(数百万〜数千万円)を求められるケースがあるという、知らないと本当に怖い落とし穴が存在します。この記事では、転勤族が持ち家の扱いで失敗しないために知っておきたいポイントを、具体的な数字と対処法とあわせてわかりやすく解説します。
なぜ「黙って賃貸」がこんなに危険なのか

住宅ローンは「自分が住むための家(自己居住用)」であることを前提に、低い金利や住宅ローン控除などの優遇を受けられる仕組みです。2026年7月時点の金利で見ても、住宅ローンの変動金利は年0.8〜1.3%台(最安帯はネット銀行で0.85%前後)、フラット35でも年3.14%程度。一方、賃貸経営に使うアパートローン・不動産投資ローンは年2〜4%台が一般的で、住宅ローンがいかに「住む人向けの特別待遇」かがわかります。
つまり、転勤で自分がその家に住まなくなり黙って賃貸に回すと、「低金利のローンを事業(賃貸)に流用している=資金使途違反」とみなされます。多くの金融機関では、賃貸に出す・空き家にすることは契約書で「事前の届け出・承認が必要な事項」と明記されています。
これが発覚すると、まず金融機関から是正の指導が入り、従わない場合は契約書の「期限の利益の喪失」条項により、残っているローンの一括返済を求められます。住宅ローンは「毎月分割で返せる」という権利(期限の利益)とセットですが、契約違反はこの権利を失う事由。残債が2,000万円あれば、それを一度に返すよう迫られる――これが「黙って賃貸」の最大のリスクです。さらに、最初から賃貸目的なのに自己居住を装って借りた場合は、詐欺罪に問われる可能性すらあります。
一方で、住宅金融支援機構の「フラット35」は、転勤などやむを得ない事情がある場合、住所変更届(転居届)を提出すれば、住み続けなくてもローンをそのまま継続できると公式に認めています。民間銀行でも、転勤中に限り賃貸を容認するケースは珍しくありません。つまり「相談すれば道が開けるケースもある」のがポイント。泣き寝入りする前に、まず正しい手続きを踏むことが何より大切なのです。
「売る・貸す・空き家・単身赴任」4つの選択肢を数字で比較

持ち家の扱いには大きく4つの選択肢があります。それぞれの費用感・リスクを一覧にすると、判断のヒントが見えてきます。
| 選択肢 | 主なお金の動き | 注意点・リスク |
|---|---|---|
| 売る | 仲介手数料=売価の約3%+6万円+税。3,000万円なら約105万円 | 売却額がローン残債を下回ると自己資金で穴埋めが必要(オーバーローン) |
| 貸す | 管理委託料=家賃の約5%/月、募集時に家賃約1か月分。家賃収入は入る | 要・金融機関の承認。空室・滞納・原状回復リスク、確定申告も必要 |
| 空き家 | 収入ゼロでローン・固定資産税・管理費が出ていく一方 | 放置で「管理不全・特定空き家」に指定されると固定資産税が最大6倍 |
| 単身赴任 | 二重生活費(家賃・光熱費・帰省交通費)で月5〜15万円ほど上乗せ | 家族が住み続ければ住宅ローン控除は継続。家計負担は重い |
どれを選んでも一長一短。だからこそ「今の家がいくらで売れて、いくらで貸せるのか」という具体的な数字を先に押さえておくと、迷いが一気に減ります。
転勤族が直面する「持ち家問題」のリアルな悩み
「せっかく建てたマイホームなのに、数年で転勤になってしまった」「単身赴任にするか、家族で引っ越して家を空けるか決められない」「銀行に相談したら怒られるのでは」――こうした不安の声は後を絶ちません。特に共働き世帯では、賃貸の手続きや管理会社とのやり取り、入居者トラブル対応まで考えると、仕事や子育てとの両立がさらに難しくなります。
かといって空き家のまま放置すれば、ローンと固定資産税だけがかさみ、家の劣化も進みます。急な辞令で引越しまでの時間が限られている場合は、荷物の整理や業者手配も同時並行。引越し費用は時期で大きく変わり、たとえば家族4人の引越しは通常期で10万〜20万円台ですが、3〜4月の繁忙期は20万〜30万円超になることも珍しくありません。だからこそ、複数社から見積もりを取って比較することが節約の第一歩になります。
意外と見落とす「住宅ローン控除」への影響
転勤で見落としがちなのが、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の扱いです。これは年末のローン残高の0.7%が所得税・住民税から差し引かれる制度で、新築なら最長13年間続きます。残高3,000万円なら年間で最大約21万円――決して小さくない金額です。転勤のパターンによって、この扱いが次のように変わります。
①単身赴任(家族が住み続ける):本人が住民票を残していれば、住宅ローン控除は継続できます。もっとも負担の少ないパターンです。
②家族全員で転居:その期間は誰も住んでいないため、控除はいったん対象外になります。
③将来戻る予定がある:一定の条件を満たせば、戻って再入居した年から残りの期間について控除を「再適用」できます(国税庁 タックスアンサーNo.1234)。
ここで重要なのが③の手続き。再適用を受けるには、家に住まなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」などを税務署に提出しておく必要があります。この事前届出を忘れると、戻ってきても控除を復活できません。転勤が決まったら、賃貸や引越しの前にこの一手を必ず押さえておきましょう。
後悔しないための対処法:まずは「金融機関への相談」から
持ち家の扱いに迷ったら、何より先にやるべきは「住宅ローンを借りている金融機関に転勤の事実を伝え、賃貸や空き家にする場合の取り扱いを確認すること」です。前述のとおり、黙って進めれば一括返済のリスク、先に相談すれば賃貸容認やローン内容の変更など、むしろ選択肢が広がることが多いのです。
賃貸に出す方向で進めるなら、不動産会社に管理まで任せられるプランを選ぶと、遠方に住みながらでも安心です。管理委託料は家賃の約5%が相場なので、家賃10万円なら月5,000円ほど。空室・滞納・設備トラブルの対応を丸ごと任せられると考えれば、決して高い出費ではありません。逆に「将来また戻る可能性が高い」「単身赴任で家族はそのまま住み続ける」なら、無理に貸さずそのまま維持するのも十分ありえる選択です。
売却を迷っている方は、まず今の家がいくらで売れるのか、査定だけでも受けてみましょう。相場を知るだけで、賃貸に出すか売るかの判断材料が格段に増えます。
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空き家にするなら知っておきたい「固定資産税6倍」リスク

賃貸にも売却にも踏み切れず、当面は家族で転勤先に引っ越して自宅を空き家にする――そんな選択をする方も少なくありません。ただ、ここで気をつけたいのが固定資産税です。
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、200㎡までの部分は固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されています。ところが、2023年12月13日施行の改正空家対策特別措置法により、これまでの「特定空き家」に加え、窓や壁の破損など管理が不十分な「管理不全空き家」も、勧告を受けるとこの特例から除外されることになりました。特例が外れると固定資産税は最大6倍、都市計画税は3倍に跳ね上がります。空き家を選ぶなら、定期的な換気・見回りや、後述の荷物整理も含めて「管理された状態」を保つことが重要です。
また、空き家にした場合でも家具や家電、思い出の品などの保管は悩みどころ。すべて持って行くには量が多すぎる、かといって処分するのも忍びない…という荷物は、トランクルームに預けてしまうのも一つの手です。月々の料金はかかりますが、いつでも取り出せる安心感があり、転勤先での新生活をすっきりスタートできます。


まとめ:正解は一つじゃない、でも「相談」だけは先に

転勤で持ち家をどうするかに「絶対の正解」はありません。家族の状況、転勤期間の見通し、ローン残債などによってベストな選択は変わります。ただ一つ確実に言えるのは、住宅ローンが残っている以上、賃貸や空き家にする前に必ず金融機関へ相談すること。これを飛ばすと、期限の利益の喪失による一括返済という思わぬしっぺ返しを受けかねません。
あわせて、住宅ローン控除の再適用届は「住まなくなる日まで」、空き家は「固定資産税6倍」に注意――この3つの数字さえ押さえておけば、慌ただしい転勤も落ち着いて乗り越えられます。まずは銀行への一本の電話、そして不動産会社への相場確認から始めてみてください。


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