転勤が決まった夜、子どもの寝顔を見ながら「なんて言えば泣かせずに済むだろう」と考えていませんか。ボクも3回の転勤のたびに、切り出す言葉を何日も探しました。
結論から言います。転勤は隠さず・早く・「決定事項+子どもが選べる余白」のセットで伝えてください。「引っ越しは決まった。でも、部屋の使い方や習い事はあなたが決めていい」という形です。この記事では、伝えるタイミング、年齢別の言い方、言ってはいけないNGワード5つまでまとめました。読み終わるころには、わが子に合わせた「伝え方の台本」ができているはずです。
伝えるタイミングは引越しの2〜3か月前が目安

子どもに伝えるベストなタイミングは、引越しの2〜3か月前です。お別れの準備と心の整理に、子どもは大人の倍の時間がかかるからです。仲のいい友達と遊ぶ約束をこなし、お別れ会をして、気持ちに区切りをつける。この一連の流れに、最低でも2か月は見ておきたいところです。
一方で、内示を受けたその日に勢いで伝えるのはおすすめしません。理由は2つあります。1つは、親自身がまだ動揺していて、不安がそのまま声に出てしまうから。もう1つは、赴任日や新居が未定の段階だと、子どもの質問に答えられず不安だけを渡してしまうからです。内示がいつ来るかの実態と備え方は別記事にまとめています。
目安として、「引越し日と新居の候補が固まった週末」が伝えどきです。わが家は毎回、金曜の夜ではなく土曜の昼に家族全員がそろう場で伝えてきました。夜に伝えると、そのまま不安を抱えて布団に入ることになるからです。伝えたあとに一緒に遊ぶ時間を取れる、昼間が向いています。
年齢別の伝え方|発達段階で「響く言葉」は変わる

同じ「引っ越すよ」でも、受け取り方は年齢でまったく違います。文部科学省の資料でも、幼児期は基本的な信頼感、小学校高学年は仲間との関わり、中学生は自立への葛藤と、年代ごとに心の課題が変わるとされています。ここでは4つの年代別に、わが家で実際に使った会話例つきで紹介します。
出典: 文部科学省「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」
未就学児には「絵とモノ」で伝える
幼児は「転勤」という概念を理解できません。理解できないものは、すべて漠然とした不安になります。だから言葉ではなく、絵本や地図、写真で「引っ越し」を見せてください。
わが家では、新しい町の写真をタブレットで見せながらこう話しました。「今度ね、この町の新しいおうちに、みーんなで一緒にお引っ越しするんだ。〇〇ちゃんのおもちゃも、ぬいぐるみも、ぜーんぶ一緒だよ」。ポイントは「家族もモノも全部一緒」を繰り返すことです。幼児の不安の正体は「大事なものと離れること」だからです。
小学校低学年には「楽しみ」とセットで伝える
低学年は、目の前の具体的な楽しみで気持ちが動く年頃です。転校のつらさを消すことはできませんが、新生活の楽しみを同じ皿に載せることはできます。
「パパのお仕事でね、春から〇〇市に引っ越すことになったんだ。今の学校とお別れするのは寂しいよね。そのかわり、新しいおうちは公園が近いんだ。自分の部屋のカーテンの色、一緒に選ばない?」。決定事項を先に言い切り、そのあとに子どもが選べる余白を渡す。この順番が大事です。
小学校高学年には「理由」まで正直に話す
高学年になると、「なんで?」に納得できないと気持ちが動きません。仕事の事情を子ども扱いせずに説明してください。「パパの会社では、いろんな町のお店を順番に担当する決まりがあるんだ。今度は〇〇の番になった」という具合です。
友達関係が人生の中心になる年代でもあります。「今の友達と離れるのが一番つらいよね」と、こちらから先に言葉にしてあげてください。連絡を続ける方法(ビデオ通話・手紙・長期休みの再会)まで一緒に決めると、別れが「終わり」ではなくなります。
中学生には「相談の形」で対等に伝える
中学生は、決定を一方的に告げられること自体に反発します。内申点や部活、高校受験と、転校の影響も現実に大きい年代です。「決まったから」ではなく「あなたの意見も聞きたい」と、家族会議の形で切り出してください。転校時期を学期の区切りに調整する、場合によっては単身赴任も検討する。選択肢を並べて一緒に考える姿勢が、そのまま信頼になります。中学生の転校の実務は内申点への影響と手続きの記事で詳しく解説しています。
言ってはいけないNGワード5つ

伝え方より先に、「言わないこと」を決めておくほうが実は簡単です。わが家の失敗から選んだ5つを挙げます。
| NGワード | 子どもにこう伝わる |
|---|---|
| 「ごめんね」の連発 | 謝るほど悪いことが起きるんだ、という不安 |
| 「すぐ友達できるよ」 | 今の友達は簡単に替えがきく、という軽視 |
| 「わがまま言わないで」 | 悲しむこと自体がいけないこと、という抑圧 |
| 「パパの仕事のせいで」 | 家族の誰かを恨んでいい、という構図 |
| 「あなたのためでもある」 | 頼んでないのに、という反発 |
特に「ごめんね」は要注意です。ボクも最初の転勤で何度も謝ってしまい、娘の不安をかえって大きくしました。謝罪ではなく「一緒に楽しくしよう」という前向きな言葉に置き換えてください。悲しむ子には「泣いていいよ。それだけ大事な友達なんだね」と、感情を認める言葉が効きます。
伝えたあとの1週間が勝負|不安サインの見守り方

伝えた直後に泣かなかったから大丈夫、ではありません。子どもの不安は数日遅れて、言葉ではなく行動に出ます。伝えたあとの1週間は、次のサインを意識して見てください。
- 寝つきが悪くなる・夜中に起きる
- 食欲が落ちる、好物を残す
- 赤ちゃん返り(甘え・おねしょ・指しゃぶり)
- 口数が減る、学校の話をしなくなる
- 些細なことで怒る・泣く
サインが出ても、慌てて問い詰めないでください。「最近よく眠れてる?」と軽く聞き、いつもより10分長くそばにいる。それで十分です。国立成育医療研究センターも、子どものストレス反応にはまず身近な大人が気づき、安心できる環境を保つことが大切だとしています。サインの見分け方は転校ストレスのサインと対処法と子どもの不安への心のケアで詳しく書いています。
もう1つ大事なのが、夫婦で観察を分担することです。パパは夕食のときの口数、ママは朝の支度の様子、と担当を決めておくと変化に気づきやすくなります。わが家はこの方法で、息子の「学校の話をしなくなった」サインを3日目に拾えました。
そして1週間を過ぎたら、少しずつ「準備」に巻き込んでいきます。新居の間取りを一緒に見る、転校先の学校をストリートビューで散歩する。不安は、手を動かすと小さくなります。転校時期の決め方は学年・学期別の判断ガイドも参考にしてください。
よくある質問
「嫌だ」と泣いたらどうすればいい?
まず泣かせてあげてください。「嫌だよね。大事な友達がいるもんね」と気持ちを言葉にして返し、説得はその日にしないことです。転勤自体は変えられなくても、「気持ちを受け止めてもらえた」経験は残ります。数日たってから、楽しみ探しを一緒に始めれば十分間に合います。
転校直前に伝えるのはあり?
おすすめしません。お別れの時間を奪われた経験は、あとまで残ります。「どうせ悲しむなら短いほうがいい」は大人の理屈です。急な辞令でどうしても時間がない場合も、最低2週間は「お別れ期間」を確保してください。友達と遊ぶ約束を1つでも多くこなせるかどうかで、次の学校への踏み出し方が変わります。
単身赴任案を子どもに相談していい?
小学校高学年以上なら、選択肢として話していいとボクは考えています。ただし「あなたのせいでパパが一人になるかも」と聞こえない言い方が絶対条件です。「家族みんなで行く案と、パパだけ行く案がある。どっちにもいいところと大変なところがあるんだ」と、比較の形で並べてください。決定の責任は親が持ち、子どもには意見だけ聞く。この線引きを守れば、相談はむしろ信頼につながります。
伝えたら、次は親の準備|引越し見積もりは早いほど安い

子どもへの説明が終わったら、次は親の段取りです。転勤シーズンの引越しは日程が埋まるのが早く、見積もりが遅れるほど高くつきます。ボクは一括見積もりの引越し侍で3社比較して、最初の提示額から4万円下がりました。無料で最大10社を比べられるので、内示が出たらまず相場だけでも確認しておくと、あとの家族会議が楽になります。

参考・根拠資料
- 文部科学省「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」(年齢別の発達課題の公式資料・閲覧日)
- 文部科学省「就学事務Q&A」(転入学・区域外就学など就学手続きの公式解説)
- 国立成育医療研究センター「子どものストレスとそのケアのお話」(子どものストレスサインと大人の関わり方)
- こども家庭庁「統計調査」(子ども・子育てに関する公的統計の一覧)


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