受験期に転勤辞令が出たら?単身赴任・帯同・時期をずらす3つの選択肢

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子育て・教育

子どもの受験学年に転勤辞令——転勤族にとって最も重い決断のひとつです。内申点、塾、志望校対策、そして子どものメンタル。すべてが絡む問題だからこそ、選択肢を全部並べて考える必要があります。この記事では3つの選択肢を整理します。

コロン

コロン
よりによって受験の年に辞令…。わが家に来たときは、家族みんなで固まっちゃったよ。

受験期の転勤が「詰みやすい」理由

高校受験は都道府県ごとに内申点の計算方法も入試制度も違い、転校すると評価の連続性が切れます(詳しくは中学生の転校と内申点の記事へ)。加えて、塾のカリキュラムや志望校対策もリセットされ、思春期の人間関係の作り直しという負荷も重なります。「受験期の転校は避けたい」が多くの家庭の本音でしょう。

選択肢①:父(母)だけ単身赴任する

受験学年の家庭では最も多い選択です。子どもの環境を一切変えずに済む一方、二重生活の費用と、受験期の親子を一人で支える側の負担が重くなります。判断の考え方は単身赴任か家族帯同かの判断ポイントを参照してください。単身赴任を選ぶ場合、赴任先の家電は期間限定と割り切ってレンタルにすると初期費用を大きく抑えられます。

選択肢②:帯同して受験地を変える

受験まで1年以上あり、本人が前向きなら帯同も選択肢です。ただし転居先の入試制度・内申の扱い・県外からの出願要件(住所要件がある県も)を必ず事前確認すること。中学受験の場合の考え方は、わが家の経験をまとめた転勤族の中学受験・前編後編の5つの選択肢が参考になるはずです。

選択肢③:辞令の時期を交渉する

「卒業まで赴任を待ってもらう」「単身赴任の期間を限定する」といった交渉は、実は珍しくありません。育児や介護への配慮を求める社会的な流れもあり、事情を具体的に伝えれば時期の調整に応じる会社も増えています。ポイントは、拒否ではなく「◯月までは現任地、以降は指示に従う」という代替案の形で相談することです。

学年別の目安

小6・中3・高3の受験本番学年なら「動かない」(単身赴任か時期交渉)が原則。受験まで1年以上あるなら、本人の意思を聞いたうえで帯同も現実的。どの選択でも、決定プロセスに子ども本人を参加させることが、あとから「親のせいで」を生まない最大のポイントです。なお、きょうだいがいる場合は、受験学年の子を基準に考えてください。下の子の転校時期は、比較的調整がききます。

データで見る:受験を理由にした会社への相談は珍しくない

「会社に事情を話すなんて無理」と思い込む前に、データを見てください。労働政策研究・研修機構(JILPT)の「企業における転勤の実態に関する調査」では、転勤の免除や配慮を会社に求めたことがある正社員は12.2%。その事情は「親等の介護」(28.2%)に次いで「子の就学・受験」が19.3%で2位でした。受験を理由にした相談は、人事の現場ではすでに「よくある話」なのです。

では、実際に相談した人はどうなったのか。同じ調査の結果を表にまとめました。

転勤免除・配慮を求めた結果 割合
転勤対象から外された 29.0%
転勤時期をずらすなどの配慮をしてくれた 22.4%
勤務地限定正社員の区分に転換し、転勤しなかった 1.8%
配慮はなく、転勤した 30.6%

出典: 労働政策研究・研修機構「企業における転勤の実態に関する調査」結果の概要(厚生労働省審議会資料)

半数以上が「対象から外す」か「時期をずらす」の配慮を受けています。企業側の回答でも、家族的事情に十分な理由があって本人が転勤に応じられない場合、「いずれの措置もとらず予定どおり転勤してもらう」とした企業はわずか3.2%。相談してみる価値は、数字が示しています。

内示から2週間でやること5ステップ

受験期の辞令は、感情で動くと選択を誤ります。次の順番で情報をそろえてから決めてください。

ステップ1(当日〜3日):赴任日と赴任期間の見込みを人事に確認します。「いつまでに」「何年程度か」で取れる選択肢が変わります。あわせて単身赴任手当・帰省旅費・社宅などの支援制度も就業規則で確認を。

ステップ2(〜1週間):帯同した場合の受験への影響を調べます。転居先の都道府県の入試制度、内申点の対象学年、県外からの出願要件。教育委員会の高校教育課に電話すれば教えてもらえます。

ステップ3(〜1週間):単身赴任した場合の家計への影響を試算します。家賃補助の有無で月の負担は大きく変わります。

ステップ4(〜10日):そろえた情報を持って家族会議。ここで初めて「どうしたいか」を子ども本人に聞きます。情報なしで聞くと「転校はイヤ」の一言で議論が止まるため、順番が大事です。

ステップ5(〜2週間):会社に相談する場合は、「行けません」ではなく「◯月の受験終了までは現任地を希望します。以降は指示に従います」と、期限つきの代替案の形で伝えます。

単身赴任を選んだら。離れて暮らす親も受験に参加できる

単身赴任を選んだ家庭の心配は、残る親に負担が集中することです。おすすめは、離れている親にも「担当」を持ってもらうことです。

たとえば週1回のビデオ通話を「進路の話をする日」に決めます。日々の勉強の見守りは同居の親、月単位の進路相談は赴任中の親。役割が分かれると、残る親の孤立感が減ります。子どもにとっても、話し相手が2人いる状態を保てます。

模試の結果は、写真やアプリで共有できます。「お父さんも数字を見ているよ」と伝わるだけで、子どもの受け止め方は変わります。距離は、受験への関与をあきらめる理由にはなりません。

よくある質問

Q. 中3の夏に辞令が出ました。今から転校させるのは無謀ですか?

無謀とまでは言えませんが、負担は大きいです。多くの都道府県で内申点は中3の成績の比重が高く、転校後の学校で評価をゼロから積むことになります。加えて入試問題の傾向も塾も変わります。受験本番学年での帯同は、本人が強く望む場合を除き、単身赴任か時期交渉を先に検討するのが現実的です。

Q. 転勤を断ったら解雇されますか?

就業規則に転勤の定めがある場合、正当な理由のない拒否はリスクがあります。だからこそ「拒否」ではなく「配慮の相談」という形を取ってください。前述の調査のとおり、相談した人の半数以上が何らかの配慮を受けています。相談しても配慮が得られず、どうしても応じられない事情があるなら、社内の相談窓口や労働組合、外部では総合労働相談コーナー(厚生労働省)に相談する方法があります。

Q. 受験が終わるまで、子どもに辞令のことを隠すべきでしょうか?

受験直前期(3ヶ月以内)を除き、隠すのはおすすめしません。子どもは親の様子の変化に敏感で、「何か隠されている」という不安のほうが勉強の妨げになるからです。伝えるときは「あなたの受験を最優先に考えている」「選択肢はいくつもある」をセットで伝えると、子どもは安心して勉強に戻れます。逆に受験3ヶ月前を切っているなら、合否が出るまで待つ判断もあります。その場合も、赴任準備は親だけで淡々と進めておきましょう。

Q. 中学受験の場合も、考え方は同じですか?

大枠は同じですが、中学受験は塾のカリキュラムへの依存が高校受験より強くなります。特に小5の後半からの転塾は、カリキュラムの差を埋める負担が大きめです。志望校が首都圏や関西圏に集中している場合は、受験地を動かさない選択が軸になります。詳しくは選択肢②で紹介した中学受験の記事2本を読んでみてください。

Q. 高校生の子どもの場合はどうなりますか?

高校は義務教育ではないため、転校には編入試験への合格と欠員が必要です。募集状況は、転居先の都道府県教育委員会のサイトで「転入学・編入学」と検索すると確認できます。高3の場合は、単位のつながりと大学受験への影響が大きいため、動かない選択を軸に考えるのが現実的です。

Q. 単身赴任と帯同、費用はどのくらい違いますか?

単身赴任は住居費・光熱費・帰省交通費が二重にかかり、会社の手当でどこまで埋まるかが分かれ目です。JILPTの同調査では、企業側が負担する国内転勤のコスト(社宅費用・単身赴任手当・帰省旅費等を含む)は年間一人あたり「100〜150万円未満」が19.7%と最多でした。会社の制度が手厚いほど単身赴任の自己負担は軽くなります。まずは就業規則の手当一覧を確認してください。詳しい生活費の内訳は単身赴任の二重生活費の記事で解説しています。

まとめ

受験×転勤に正解はありませんが、「選択肢を全部並べ、制度を確認し、本人の意思を聞く」という手順を踏めば、家族が納得できる答えにたどり着けます。内示からの2週間は苦しい時間ですが、5ステップを終える頃には、感情ではなく情報で選べる状態になっています。夫婦での話し合いがもめがちな方は転勤の家族会議の型もどうぞ。

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